ブログ
営業時間・照度・構造基準とは?風営法に基づく営業許可取得の基本
blog
「深夜まで営業したいが、何時までなら大丈夫なのか分からない」「店内を落ち着いた暗さにしたいが、照度の基準に引っかからないか心配」「図面のどこまでを風営法の構造基準に合わせればよいのか分からない」――風営法に基づく営業許可を検討するとき、最初につまずきやすいのが「営業時間・照度・構造」の3つの基準です。
とくに、キャバクラ・ホストクラブ・スナック・ガールズバー・マージャン店などの開業を考えている方からは、「インターネットで調べても、何が正しいのか分からない」「設計事務所や内装業者と話がかみ合わない」といった声が多く寄せられます。風営法の基準は、法律の条文だけでなく、施行規則や各都道府県の条例・運用にもまたがっているため、全体像をつかみにくいのが実情です。
しかし、基準の考え方を大まかに整理しておけば、図面のチェックポイントや、警察との事前相談で確認しておくべき点が見えやすくなります。重要なのは、「何時まで営業したいのか」「どのくらいの明るさ・雰囲気にしたいのか」「どのような間取り・設備にするのか」を、開業前の段階から具体的に言語化することです。
ここでは、風営法に基づく営業許可を検討するうえで基本となる「営業時間・照度・構造基準」の考え方と、設計・内装段階で押さえておきたいポイントを、実務の流れに沿って整理していきます。
目次
風営法における営業時間基準の基本と考え方
1. 風俗営業と深夜酒類提供飲食店の違いを押さえる
まず整理しておきたいのが、「風俗営業」と「深夜酒類提供飲食店営業」の違いです。どちらも夜間に営業することが多い業態ですが、目的や前提となる営業内容が異なります。
- 風俗営業:接待行為や遊技・遊興を伴う営業(キャバクラ・ホストクラブ・マージャン店・一部ゲームセンターなど)。営業時間に上限が設けられていることが多い。
- 深夜酒類提供飲食店:接待行為は行わないが、深夜0時(地域によっては1時)以降も酒類を提供するバー・居酒屋など。届出制で、一定の構造・設備基準や営業方法のルールがある。
「深夜も営業したいから、とりあえず深夜酒類提供飲食店の届出を出せばよい」というわけではなく、そもそもの営業内容が接待を伴うのかどうかによって、必要となる許可・届出の種類や、適用される営業時間のルールが変わります。
2. 営業時間のルールは『営業類型+地域の条例』で決まる
風営法上の営業時間は、営業類型ごとの法律上の枠組みに加え、各都道府県条例によって、終業時刻や営業禁止時間帯が具体的に定められています。一般的には、接待行為を伴う風俗営業については、午前0時前後を目安に営業できる時間帯が制限されている地域が多く、深夜2時以降の営業は原則認められない、といったイメージです。
同じ「キャバクラ」「スナック」という名称でも、どの都道府県で営業するかによって、許される営業時間が変わります。開業予定地の条例・施行規則を前提に、「何時から何時まで営業したいのか」を事前に明確にしておきましょう。
3. 営業時間と照度・構造基準はセットで考える
営業時間は単独で決まるのではなく、「どの類型の許可・届出を取るか」「どの照度・構造基準を前提に設計するか」とセットで考える必要があります。例えば、接待行為をやめて深夜酒類提供飲食店の届出に切り替えれば営業時間の制限は変わりますが、その場合は照度や見通しに関する別の基準を満たさなければなりません。
「とりあえず暗くて落ち着いた雰囲気の店にしたい」「できるだけ遅くまで営業したい」といった希望を、図面・照明計画とすり合わせながら、無理のない営業形態を検討することが重要です。
POINT|「何時まで営業したいか」を最初に決めておく
店舗コンセプトや内装イメージから検討を始める方が多いですが、風営法の許可を前提にする場合は、最初に「何時まで営業したいか」を決めておくことが大切です。営業時間の希望によって、選ぶべき営業類型や、求められる照度・構造基準が変わるためです。
照度基準の考え方と「暗さ」の設計ポイント
1. 風営法で求められる「照度基準」とは何か
風営法における照度基準とは、「営業中の客室が、一定以上(または以下)の明るさを保っているか」を定めた基準のことです。接待行為を伴う営業の場合は、過度に暗い環境によるトラブルを防ぐために、最低限の明るさを維持することが求められます。一方で、深夜酒類提供飲食店など、類型によっては別の基準が想定されている場合もあります。
実務上は、検査時に照度計を用いて客席の明るさを測定し、基準値を満たしているかを確認します。「オープン時は明るくしておき、営業が始まったら暗くする」といった運用は、検査時や立入で指摘を受ける原因となります。
2. 照度基準を満たすための照明計画の工夫
店舗の雰囲気を重視したい場合でも、基準を満たす範囲で「見せ方」を工夫することは可能です。例えば、天井照明で基準を確保しつつ、間接照明やスポットライトを組み合わせることで、客席周りにメリハリを持たせる方法があります。照明の明るさ調整ができる場合でも、最低照度を下回らないよう、事前に設定を決めておくと安心です。
- 検査時だけでなく通常営業時も、基準を下回らない明るさを維持する。
- カウンターやステージ周りなど、暗くなりがちなエリアの照度も事前に確認する。
- 照度計を用いた測定を、工事完了時または試験営業の段階で行っておく。
設計事務所・内装業者と打ち合わせを行う際には、「風営法の照度基準を前提にした照明設計にしたい」と明確に伝え、必要に応じて図面段階から行政書士にも共有することをおすすめします。
3. カラオケ・ステージ・VIPルームなどの注意点
カラオケ設備のある店舗や、ステージ・VIPルームを備えた店舗では、場所によって明るさが大きく変わりがちです。照明演出のために暗くしすぎると、検査時に基準を下回るおそれがあります。客室とバックヤードの区分、ステージやカラオケブースが「客室」とみなされるかどうかなども含めて、照度の対象範囲を整理する必要があります。
また、営業時間帯によって照明パターンを切り替える場合にも、いずれのパターンでも基準を満たしているかどうかを確認しておくとよいでしょう。
CAUTION|「雰囲気重視」で暗くしすぎない
落ち着いた雰囲気を出すために照明を落としすぎると、照度基準を下回り、検査や立入時に是正を求められることがあります。特にカラオケ・ステージ・個室などは、ほかの客室より暗くなりがちなため、事前に照度計で確認し、必要に応じて照明を増設するなどの対応が必要です。
構造基準の概要と図面作成のチェックポイント
1. 客室の配置・見通し・避難経路に関する考え方
風営法における構造基準では、客室の数や配置、出入口・廊下の幅、階段・避難経路などについて、一定のルールが定められています。とくに、「見通しを妨げる設備(仕切り・壁など)の制限」や、「非常口・避難経路の確保」は、図面作成の段階から意識しておくべきポイントです。
一般的には、奥まった個室が多すぎる構造や、見通しを大きく妨げるパーティション・高い仕切りなどは、基準に合致しない可能性があります。また、階段・通路が狭すぎる場合や、非常口に至る経路が複雑な場合も、避難経路確保の観点から見直しを求められることがあります。
2. 客室面積・個室数などの基準への対応
客室面積や個室数に関する基準も、営業類型によって異なります。例えば、接待行為を伴う営業では、一定面積に対する客室数の上限や、客室ごとの最低面積などが定められている場合があります。狭い個室を多数配置するプランを検討している場合には、早い段階で基準との整合性を確認しておく必要があります。
内装業者に「いつもこのくらいの広さで作っているから大丈夫」と言われたとしても、建物の構造や用途地域、想定している営業類型が違えば、同じ図面でも判断が変わることがあります。自店舗の計画に即した基準を確認することが大切です。
3. トイレ・バックヤード・スタッフ動線も含めた設計
構造基準の検討というと客室ばかりに目が向きがちですが、トイレ・バックヤード・スタッフ動線なども、営業の安全性や利便性に直結します。とくに、客とスタッフの動線が交錯しすぎる構造や、非常時に避難しにくい配置になっている場合は、実務上も運営しにくくなります。
風営法の構造基準を満たすことと、スムーズな店舗運営・安全確保を両立させるために、図面の段階から行政書士・設計者・オーナーが同じ前提を共有し、必要に応じて何度か図面の修正を行うことが望ましいと言えます。
メリット|構造基準を押さえて設計するメリット
- 許可申請後の「やり直し工事」を避けられ、工期・コストのロスを減らせる。
- 避難経路や見通しを確保しやすくなり、事故・トラブルのリスク低減につながる。
- 将来のレイアウト変更や業態変更を検討するときも、判断のしやすい図面になる。
営業許可取得までの準備フロー(営業時間・照度・構造の整理)
営業時間・照度・構造基準は、ばらばらに検討するのではなく、「営業コンセプト」「物件選定」「図面・内装」「許可申請」の流れの中で整理していくことがポイントです。ここでは、実務上の代表的な進め方を3つのステップに分けてみます。
営業コンセプトと営業時間・業態の整理
どのような客層に、どの時間帯を中心として営業するのかを整理し、「接待行為を伴うのか」「深夜まで営業するのか」「遊技・遊興を行うのか」を明確にします。この段階で、風俗営業・深夜酒類提供飲食店など、想定される営業類型の候補を洗い出します。
物件選定・用途地域・構造条件の確認
候補物件の用途地域や周辺の保全対象施設、ビルの管理規約などを確認し、そもそも風営法の営業が可能かどうかを判断します。同時に、フロアの形状・天井高・出入口の配置など、構造基準を満たせる可能性があるかを検討します。
図面・照明計画の確定と許可申請
構造基準・照度基準を満たすことを前提に図面と照明計画を固め、行政書士が申請書類を整えます。必要に応じて警察署との事前相談を行い、想定される指摘ポイントを先に潰しておくことで、申請から許可までの流れをスムーズにできます。
実務では、この3つのステップを何度か行き来しながら、現実的な収支計画・物件条件・法令基準をすり合わせていくことが一般的です。「図面が完成してから法令を確認する」のではなく、企画段階から許可取得を見据えて動いていくことが、結果的に最短ルートとなります。
営業時間・照度・構造に関するセルフチェックリスト
1. 営業計画段階で確認したいチェック項目
自店舗の計画が、風営法に基づく営業許可の基準を満たしていけそうかを確認するために、次のようなチェックリストを用意しておくと便利です。はい/いいえで答えられる形にすることで、どこに不明点が残っているかを可視化できます。
- 想定している営業時間(開店〜閉店時刻)を具体的に決めている。
- 接待行為の有無や、遊技・遊興(ダンス・ショー・ゲームなど)の有無を整理している。
- 候補物件の用途地域と、周辺に保全対象施設がないかを確認している。
- 図面上の客室面積・個室数・通路幅などを確認し、疑問点を洗い出している。
- 照度計を用いた試験測定や、照明計画の事前検討を行う予定がある。
- 警察署や行政書士に相談するタイミングを決めている。
「いいえ」が多い項目ほど、後から手戻りが発生しやすいポイントです。開業スケジュールに余裕を持たせつつ、順番に解消していくことをおすすめします。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 営業時間の設定 | 開店・閉店時刻を明確にし、希望する時間帯が法令・条例上許されるかを確認する。 | 「何となく深夜まで」ではなく、具体的な時刻を前提に、営業類型と基準を検討しましょう。 |
| 接待・遊技・遊興の有無 | 接待行為やマージャン・ゲーム、ダンス・ショーなどを行うかどうかを整理する。 | 営業内容の違いが、必要な許可・届出や適用される構造・照度基準を大きく左右します。 |
| 物件・用途地域の確認 | 用途地域や保全対象施設との距離、ビルの管理規約などを事前に確認する。 | 図面が仕上がってから「そもそも許可が出ない地域だった」と判明するリスクを防げます。 |
| 構造・設備(見通し・避難経路) | 客室の配置、仕切り・パーティションの高さ、通路幅、避難経路などを確認する。 | 風営法の構造基準と、実務上の安全性の両面から、無理のない設計になっているかをチェックします。 |
| 照度・照明計画 | 照度基準を満たすための照明数・配置・明るさ設定を検討し、測定の段取りを決める。 | 「雰囲気重視」で暗くしすぎないよう、基準と店舗イメージのバランスを取りましょう。 |
2. 専門家に相談すべきタイミングを明確にしておく
風営法の許可取得は、図面の微調整や警察とのやり取りなど、オーナーだけでは判断が難しい場面が多くあります。「どの時点で行政書士や警察署に相談するか」を事前に決めておくことで、スケジュールの遅れややり直しを減らすことができます。
- 物件候補が固まりそうな段階で、用途地域や営業類型の確認を依頼する。
- 図面のたたき台ができた段階で、構造・照度基準の観点からチェックを受ける。
- オープン希望日の数か月前には、申請スケジュールと必要書類を確定させる。
「工事が終わってから相談する」と、場合によっては構造のやり直しが必要になることもあります。早めの相談が、結果としてコスト・時間の節約につながります。
営業時間・照度・構造基準に関するよくある質問(FAQ)
営業時間を短くすれば、その分基準は緩くなりますか?
営業時間を短くすることで、深夜酒類提供飲食店の届出が不要になるケースなどはありますが、構造・照度基準そのものが緩くなるわけではありません。どの類型の許可・届出を選択するかによって、適用される基準が変わるイメージです。「何時まで営業するか」と「どの基準が適用されるか」をセットで検討する必要があります。
検査のときだけ照明を明るくしておけば問題ありませんか?
許可後も、営業中の照度が基準を下回っていると指導の対象となる可能性があります。検査時だけ基準を満たしていても、通常営業が常に暗すぎる状態では適切とはいえません。照明の設定やオペレーションを含め、「通常の営業状態で基準をクリアしているか」を前提に考えましょう。
小さな店舗で個室をいくつか作りたいのですが、構造基準に抵触しやすいでしょうか?
個室の数や面積、仕切りの高さ、通路の幅などによっては、見通しや避難経路の観点から構造基準に適合しないと判断されるおそれがあります。特に、小規模なフロアで個室を多く設けるプランはリスクが高くなりがちです。早い段階で図面を用意し、行政書士や警察署の事前相談で確認することをおすすめします。
すでに営業中の店で、レイアウト変更や増床を行う場合も、構造・照度基準を改めて確認する必要がありますか?
はい、レイアウト変更や増床によって、客室面積や見通し、避難経路、照度などの条件が変わる場合には、改めて基準との適合性を確認する必要があります。変更内容によっては、届出や許可の取り直しが必要となることもありますので、工事計画の段階で専門家に相談しておくと安心です。
都道府県ごとの違いが大きいと聞きましたが、自分で調べるだけでは不安です。
風営法の基本的な枠組みは全国共通ですが、具体的な終業時刻や細かな運用は、都道府県ごとの条例や警察署の運用方針によって異なる部分があります。インターネットの情報は、別の地域の基準や古い情報が混在していることも多いため、開業予定地を管轄する警察署や、実務に詳しい行政書士に直接確認することが安全です。
行政書士あさみ法務事務所にご相談いただくメリット
営業時間・照度・構造基準を踏まえた風営法の営業許可申請は、法令・条例の読み込みだけでなく、図面・照明計画・物件条件などを総合的に判断する必要があるため、店舗オーナーだけで進めるのは大きな負担になりがちです。設計事務所や内装業者との打ち合わせの場でも、「どこまでが法令の要件で、どこからがデザインの自由度なのか」が分からなくなってしまうことも少なくありません。
行政書士あさみ法務事務所では、風営法に基づく営業許可や、深夜酒類提供飲食店の届出など、ナイトタイムエコノミーに関わる各種手続きについて、開業計画の段階から伴走支援を行っています。営業コンセプト・物件・図面・スケジュールを確認しながら、次のようなサポートが可能です。
- 営業内容・営業時間を踏まえた、必要な許可・届出の整理(風俗営業・深夜酒類提供飲食店など)。
- 用途地域・周辺環境・ビル規約などを踏まえた、物件選定段階での法令面の確認。
- 図面案の段階での構造基準・照度基準のチェックと、修正が必要なポイントの整理。
- 許可申請書・添付書類の作成、警察署との事前相談同行、申請代理。
- オープン後のレイアウト変更・業態変更に伴う、届出・申請の見直し支援。
「この営業時間で本当に申請できるのか知りたい」「今の図面で問題ないか、第三者の目でチェックしてほしい」といった段階のご相談も歓迎です。許可取得の見込みや、想定されるリスクを早めに把握しておくことで、開業準備の優先順位も見えやすくなります。
行政書士あさみ法務事務所の風営法許可サポートの内容は、下記ページでも詳しくご紹介しています。
実際のご相談・お見積りは、専用フォームからお気軽にお問い合わせください。風営法の営業許可に限らず、関連する営業許可や法人・個人事業の手続きも含めて、トータルでのサポートが可能です。
無料相談のご案内
風営法に基づく営業時間・照度・構造基準の整理から、営業許可・届出の申請まで一括でサポートします
行政書士あさみ法務事務所(代表:中川麻美)は、風営法に関わる営業計画のご相談から
風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店の届出・各種変更届まで一気通貫で支援します。
各自治体の運用や手引きの違いも踏まえ、店舗ごとの条件に合わせた最適な進め方をご提案します。
※必要書類や運用は都道府県・警察署によって異なります。最新の手引・案内を確認しつつ、当事務所でも適切な進め方をご案内します。
