ブログ
会社設立で行政書士ができること・できないこと|依頼のポイントと他士業との違い
blog
「会社を作りたい。できれば早く動き出したい」――そう思って調べ始めたら、手続きが多くて手が止まる。よくある流れです。定款って何?電子定款ってどうやる?公証役場って行くの?資本金の払い込みはどのタイミング?と、調べるほど不安が増えていきます。
さらに建設業での起業だと、設立後すぐに「建設業許可」も視野に入るため、会社の目的(事業目的)や役員体制、営業所の考え方まで最初から整えておきたいところです。ここが曖昧なまま進めると、後から許可申請で作り直しが出てしまい、現場の段取りに影響します。
会社設立は「誰に頼めるのか」を整理すると、迷いが減ります。行政書士でできること、できないこと、そして他士業とどう使い分けるかを、実務の目線でまとめます。
目次
まず結論:行政書士が「会社設立でできること・できないこと」
1. 行政書士ができること(設立前の“書類設計”と許認可の前提整理)
行政書士は、官公署に提出する書類の作成・手続支援を専門とする士業です。会社設立においては、設立時に必要となる準備書類の整理や、定款(案)の作成支援、事業内容に応じた許認可の見立てなど、設立の“設計図づくり”で力を発揮します。
2. 行政書士ができないこと(登記申請・税務代理・労務の代理)
会社設立の最終局面である「設立登記の申請」は、司法書士の業務領域です。また、税務申告や税務代理は税理士、社会保険・労働保険の手続代理や就業規則などの労務分野は社会保険労務士(社労士)の領域です。ここを混同すると、依頼先の選び方を誤ります。
POINT|「設立の書類」+「許認可の前提」を一緒に整えると、後工程がラクになります
会社を作った後、建設業許可などの許認可を取る予定があるなら、設立時点の事業目的や体制を許認可目線で整えておくと、後からの修正が減ります。
CAUTION|「登記も全部お願いします」と言われても、行政書士は登記申請の代理はできません
会社設立は、行政書士・司法書士・税理士・社労士がそれぞれ役割を分担します。ワンストップに見えても、実務上は適切な専門家との連携で進みます。
3. 具体例:目的(事業目的)を雑に決めたら、許可申請で手戻りした
建設業で起業する場合、会社の事業目的が実態とズレていると、後で許可や契約の場面で整合が取れなくなります。設立時点で「何を事業として行う会社なのか」を整理しておくと、将来の手続きがスムーズです。
会社設立で行政書士がサポートできる主な内容(実務ベース)
1. 設立の前提整理(会社形態・役員構成・資本金・決算期など)
株式会社にするか合同会社にするか、役員構成はどうするか、資本金の額や決算期をどう置くか。ここが固まると、定款の内容が確定し、後工程が進みます。建設業許可を見据える場合、営業所体制や将来の人員計画も踏まえて検討します。
2. 定款(案)の作成支援・必要事項の整理
定款には、会社の基本ルール(商号・目的・本店所在地・発行可能株式総数・役員など)を定めます。目的の記載は広すぎても狭すぎても運用上困るため、事業の実態と今後の展開を踏まえて設計します。
3. 公証役場手続に向けた準備(株式会社の場合)
株式会社の設立では、公証役場で定款認証が必要です。認証のために必要な書類や、事前確認の段取りを整理し、当日の手戻りを減らす準備を行います。
4. 設立後を見据えた許認可の棚卸し(建設業の場合は特に重要)
建設業で事業を進める場合、建設業許可に加え、業態によっては産廃、電気工事、解体、古物、各種届出などが関わることがあります。設立後に慌てないよう、必要な許認可・届出の候補を整理します。
メリット|行政書士に設立準備を相談する価値
- 定款・目的の設計を、許認可や実務の視点で整理できる
- 設立後の手続(許可・届出)まで見据えた段取りが作れる
- 司法書士・税理士・社労士との役割分担が明確になり、迷いが減る
5. 具体例:設立後すぐに許可が必要で、最初から体制を組み直した
起業後に元請け案件が決まり、急いで建設業許可を取りたいという相談は多いです。設立時点の役員体制や営業所の考え方が許可要件に合っていないと、許可の準備で足踏みします。先に許可の見通しを整理し、設立計画に反映させると、後工程が安定します。
他士業との違い(司法書士・税理士・社労士)を一枚で整理
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 行政書士 | 官公署に提出する書類の作成・許認可の支援、設立前の書類設計 | 定款・目的設計、許認可の見立てを早めに固める |
| 司法書士 | 設立登記(法務局への登記申請) | 会社設立の“最後の確定作業”を担当 |
| 税理士 | 税務申告・税務代理、会計・経理体制の構築 | 設立後の資金計画・税務運用を固める |
| 社労士 | 社会保険・労働保険手続、労務管理(就業規則など) | 人を雇う段階で必要になる手続きを担当 |
POINT|「設立前」から相談すると、登記や税務の準備もスムーズになります
設立は一つの手続きに見えて、実務は分業です。行政書士が設立前の設計を整え、司法書士が登記を確定し、税理士・社労士が運用を整える。この流れで進めると、ミスが減ります。
1. 具体例:登記は司法書士、許可は行政書士で分けたら最短で進んだ
登記は法務局、許可は所管庁と提出先が異なります。役割を分け、同時並行で準備すると、設立後すぐに許認可へ移行できます。
依頼のポイント:行政書士に相談するなら、ここを整理しておく
1. 目的(何のために会社を作るか)と、最初の取引先の条件
建設業なら、元請け・下請け、工事種別、許可が必要な取引条件などを整理すると、設立後の動きが早くなります。
2. 人の体制(役員候補・専任技術者候補・将来雇用の予定)
設立だけなら問題なくても、建設業許可を取る段階で“人の要件”が壁になります。設立前から体制を見ておくと、後で困りません。
3. 営業所の予定(所在地・使用権限・看板など)
建設業許可では営業所の実態が重要です。設立段階で営業所が未確定なら、そのスケジュールも含めて計画します。
CAUTION|「とりあえず設立してから考える」は、許可が必要な業種ほど危険です
許可取得を急ぐほど、設立時点の設計ミスが手戻りになります。目的・体制・営業所の3点は、最低限整えてから進めるのが実務的です。
4. 具体例:建設業許可を取る予定があるのに、役員体制の見立てが甘かった
設立後に許可準備へ入ったら、経営経験の整理が難しく、体制から見直すことになったケースがあります。設立前に許可の前提を整理しておくと、こうした遠回りを避けられます。
チェックリスト(はい/いいえ)+準備書類の目安
1. 依頼・相談の前に確認するチェックリスト
- 建設業許可を将来的に取得する予定がある(はい/いいえ)
- 元請け・取引先から許可や会社情報の提出を求められている(はい/いいえ)
- 事業目的(目的欄)をどう書けばよいか迷っている(はい/いいえ)
- 役員構成(代表・取締役など)をどうするか決まっていない(はい/いいえ)
- 営業所(所在地・契約名義)が未確定、または変更予定がある(はい/いいえ)
- 税務・労務も含めて、設立後の体制を整えたい(はい/いいえ)
- 設立の期限(契約・入札・融資など)が決まっている(はい/いいえ)
- 社内で調べる時間が取れず、最短で進めたい(はい/いいえ)
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 会社の基本方針 | 会社形態、商号、本店所在地、決算期、資本金 | 許可や運用まで見据えて決めると手戻りが減ります |
| 役員・出資の情報 | 役員候補、出資者、持株比率(株式会社の場合) | 後で揉めない設計にしておくのが重要です |
| 事業目的 | 行う事業の範囲(建設関連、付帯事業など) | 許認可や取引実務で困らない書き方を整理します |
| 設立後の予定 | 許可取得、融資、採用、入札参加など | 優先順位を決めて段取りを作るとスムーズです |
POINT|「はい」が多いほど、設立前相談の効果が大きくなります
設立は一度進めると修正に手間がかかります。許可や取引条件が絡む場合は、設立前に設計を固めるのが実務的です。
2. 具体例:設立を急いで、税務・労務の準備が間に合わなかった
設立自体は間に合っても、税務の届出や社会保険の手続きが後手に回ると運用が混乱します。税理士・社労士と役割分担し、設立後の動きまで段取りを作ると安心です。
よくある質問(FAQ)
会社設立は行政書士に全部任せられますか?
設立の準備(定款の設計や許認可の前提整理など)は行政書士が支援できますが、設立登記の申請は司法書士の業務領域です。実務では連携して進める形になります。
建設業で起業予定です。設立前に相談するメリットはありますか?
あります。設立時点の事業目的や体制、営業所の考え方を許可目線で整えると、設立後の建設業許可申請がスムーズになります。後からの修正を減らせます。
税務や社会保険のことも含めて相談できますか?
税務は税理士、社会保険・労務は社労士の領域です。必要に応じて、設立後の運用が滞らないように、役割分担を整理したうえで進めます。
まとめ:会社設立は「誰に何を頼むか」を整理すると最短で進む
1. 行政書士は設立前の設計と許認可の前提整理で強い
会社設立は、登記だけでなく、事業目的や体制、許認可の見通しまで整えることで“その後の運用”が安定します。建設業で起業するなら、設立前の段階で許可の見立てをしておくと、遠回りを防げます。
2. 登記・税務・労務は他士業の領域。連携して進めるのが実務的
設立登記は司法書士、税務は税理士、労務は社労士と役割が分かれます。最初に役割分担を整理し、必要な専門家と連携することで、設立後の手続きもスムーズになります。
建設業許可まで見据えて準備を進めたい場合は、下記ページも参考にしてください。
建設業許可サポートの詳細はこちら
会社設立後の許可取得を急ぎたい、要件の見通しを先に立てたい、といった相談も可能です。
無料相談・お問い合わせはこちら
無料相談のご案内
会社設立後の許可取得を見据え、専任技術者の要件整理から申請方針の設計までまとめて支援します
行政書士あさみ法務事務所(代表:中川麻美)は、専任技術者の要件確認から
建設業許可の新規・更新・業種追加・変更届まで一気通貫で支援します。
各自治体の運用や手引きの違いも踏まえ、御社の状況に合わせた最適な進め方をご提案します。
※必要書類や運用は所管庁によって異なります。最新の手引・告示を確認しつつ、当事務所でも適切な進め方をご案内します。
