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古物商許可が取り消される原因と対策
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中古品の売買やリユースビジネスを営む上で不可欠な「古物商許可」。
一度許可を取得すれば事業を継続できると考えている方も多いですが、一定の条件に該当した場合、許可が取り消される可能性があることをご存じでしょうか。
「気づかないうちに法律違反になっていた」
「変更届を出していなかっただけなのに取り消された」
このような事態に陥らないためには、古物営業法に基づく義務と注意点を正確に理解しておくことが重要です。
この記事では、古物商許可が取り消される代表的な原因とその対策を、制度の根拠とともに解説します。
古物商許可が取り消される主な原因とは
1. 虚偽申請・重要事項の不記載
古物商許可を取得する際に、故意に虚偽の情報を申請書に記載したり、必要な情報を意図的に記載しなかった場合、許可後であっても許可の取消処分がなされることがあります。
古物営業法第6条では、申請者が「不正の手段により許可を受けたとき」は、公安委員会が許可を取り消すことができる旨が規定されています。
代表的な例:
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実際は暴力団関係者であるにもかかわらず、それを隠して申請
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欠格事由に該当しているのに、略歴書や誓約書に虚偽記載
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実際には営業所が存在しないのに申請上は存在するよう装っている
2. 古物営業法の違反行為
営業開始後に古物営業法に違反した場合も、許可取り消しの対象となります。
違反の程度や故意性・継続性によっては、取り消しに至らず行政指導や営業停止処分で済むこともありますが、重大な違反や再三の指導無視は即時取り消しにつながることもあります。
例:
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本人確認義務を怠って商品を買い取った
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古物台帳への記録義務を果たしていない
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無許可営業者から仕入れた商品を販売している
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標識(古物商プレート)を掲示していない
3. 営業所・名義などの変更届出義務違反
古物商許可取得後に営業所の移転、氏名変更、法人代表者変更などがあったにもかかわらず、20日以内に変更届出をしなかった場合、古物営業法第7条違反となり、取り消しの原因となることがあります。
形式的な違反であっても、長期にわたって届出義務を怠ると「信用性欠如」と判断される可能性があります。
4. 欠格事由への該当
許可取得後に次のような状態に該当した場合、自動的に許可が取り消されることがあります(古物営業法第4条)。
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許可者が禁錮刑以上の刑に処せられた
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暴力団との関係が判明した
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成年被後見人、被保佐人になった
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法人の役員が欠格事由に該当した
たとえ許可時には問題がなかったとしても、後からの事情変更で許可を失うことがあるため注意が必要です。
古物商許可を維持するための対策
1. 書類は正確に記入・提出する
虚偽申請や記載漏れを防ぐためには、申請書類の内容を丁寧に確認することが基本です。
略歴書や誓約書では、過去の刑事処分歴、暴力団との関係の有無なども問われますので、事実と異なる記載は絶対に避けるようにしましょう。
また、法人申請の場合は、全役員分の住民票や身分証明書、定款なども必要になります。これらが正確に整っていないと、後に不備が発覚した際のリスクが高まります。
2. 古物営業法の遵守を徹底する
営業を開始した後は、古物営業法で定められた以下のような義務を確実に履行しましょう。
義務内容 | 概要 |
---|---|
本人確認義務 | 商品の買い取り時に相手の身元を確認(身分証など) |
古物台帳記録義務 | 取引の都度、日時・相手・商品内容などを記録 |
標識掲示義務 | 営業所に古物商プレートを見やすい位置に掲示 |
台帳の保存義務 | 記録は3年間保存(紙・電子どちらでも可) |
管理者の選任・届出義務 | 営業所ごとに管理責任者を置き、公安委員会に届け出ること |
違反行為があった場合、公安委員会の立入検査で発覚し、行政処分の対象となることがあります。
3. 変更届出を忘れずに行う
古物営業法第7条では、変更から20日以内に変更届出を提出する義務が定められています。
以下のような変更が対象です。
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営業所の所在地変更(同一県内)
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氏名や法人名の変更
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管理者の変更
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定款の変更(事業目的の追加など)
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役員の変更(法人の場合)
20日を過ぎても受理される場合もありますが、繰り返すと「法令遵守意識に欠ける」と判断され、更新拒否や取り消し処分の対象となることがあります。
4. 欠格事由の把握と対応
古物営業法では、事業者本人や法人の役員が欠格事由に該当する状態になった場合、許可が維持できなくなるとされています。
そのため、法人の場合は役員変更の際に必ず欠格事由に該当しないかを確認する体制を整える必要があります。
また、万が一該当してしまった場合でも、すみやかに該当者を辞任させるなど、組織内でリスク管理ができていることを証明することが重要です。
行政書士に依頼するメリット
1. 書類不備や誤認リスクの排除
行政書士は、古物営業法に精通しているため、虚偽や記載漏れのない申請書類の作成が可能です。法人申請の場合には、役員の範囲や必要書類の正確な判断もサポートできます。
また、変更届出の判断が難しい場合でも、届出か新規申請が必要かの判断を事前に明確にできます。
2. 管轄警察署との調整や補正対応
地域ごとの警察署には独自の運用ルールがあることも多く、対応に戸惑う方も少なくありません。行政書士であれば、警察署への事前相談や補正依頼への対応もスムーズに進められます。
さらに、指摘事項があった場合の対応も代行可能で、安心して事業に集中できます。
3. 継続的な許認可管理をサポート
古物商許可を取得した後も、住所変更・名義変更・営業所追加・更新申請など、定期的な手続きが求められます。
行政書士に継続サポートを依頼することで、届出漏れや期限切れといったリスクを防ぎ、許可の維持管理を専門家が代行できます。
まとめ|古物商許可の維持には「正しい理解と運用」が不可欠
古物商許可は一度取得すればそれで終わりではありません。
申請時の虚偽記載、営業ルール違反、変更届出の遅れ、欠格事由の発生など、さまざまな原因で許可が取り消されるリスクがあります。
取り消し処分を受けると、その後の新規許可申請が困難になったり、事業自体の継続に支障が出ることもあるため、正確な制度理解と確実な運用が非常に重要です。
行政書士あさみ法務事務所では、古物商許可の取得から維持管理、変更届出、更新、指導対応まで、トータルでサポートいたします。
「もしかして手続きが漏れているかも」「取り消しリスクが不安」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。