栃木県宇都宮市の許認可専門 女性行政書士

行政書士あさみ法務事務所

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2025.07.30

経営状況分析申請のよくあるミスとその対処法

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経営事項審査(経審)を受けるためには、まず「経営状況分析申請」を行う必要があります。経営状況分析とは、建設業法に基づいて企業の財務内容を定量的に分析し、経審で使用する「Y点(経営状況)」の点数を決定する重要な手続きです。

しかし、毎年多くの建設業者がこの経営状況分析申請の過程で大小様々なミスをしてしまい、申請のやり直しや点数の低下につながるケースが発生しています。

本記事では、行政書士の立場から「経営状況分析申請でよくあるミス」とその具体的な対処法を、制度に即してわかりやすく解説します。これから申請を行う建設業者の皆様は、ぜひ事前に確認してミスのないスムーズな申請に役立ててください。

そもそも経営状況分析とは何か?

1. 経営事項審査に先立つ必須ステップ

経営事項審査(経審)の評価項目の一つである「経営状況(Y点)」は、指定分析機関が決算書類を基に計算します。この分析結果通知書がなければ、経審を受けることができません。

経営状況分析の根拠は、建設業法第27条の23および関係省令に基づいて定められており、申請内容が正確であることが求められます。

 

2. 分析の評価指標(Y点)の構成

経営状況分析では以下の財務指標を数値化して評価します。

指標名 内容
流動比率 短期的な支払能力
自己資本比率 財務の安定性
売上高経常利益率 収益性
債務償還年数 借入金返済能力
利益剰余金対総資本比率 内部留保状況
総資本対売上高比率 資本効率
有利子負債対自己資本比率 借入依存度

これらが正しく計算されるためには、申請書に添付する決算書・申告書類・添付資料が正確かつ整合していることが大前提となります。

 


経営状況分析申請でよくあるミス一覧

1. 決算変更届の誤記載・未提出

経営状況分析の前提として、決算変更届時に提出する建設業財務諸表が作成済みであることが求められます。ここでの誤記や未提出が、後の経営状況分析に影響を及ぼします。

典型的なミス

  • 決算変更届の数値と分析申請書の数値が不一致

  • 様式変更に対応していない古い届出様式を使用

  • 添付書類の不足(法人税別表四・五の未提出)

 

2. 決算書科目の仕訳間違い

分析機関は「建設業財務諸表(建設業法様式)」に基づき集計します。通常の税務会計の決算書をそのまま流用すると勘定科目区分がズレることがあります。

代表的な科目誤り

  • 仮払金・前払費用を流動資産に含めていない

  • 工事未収入金・完成工事未収入金の分類ミス

  • 長期借入金の短期返済部分を流動負債へ振替忘れ

 

3. 関連会社間取引の処理ミス

経営状況分析では、グループ会社間の債権・債務は正確に相殺計上する必要があります。

よくある問題

  • 関係会社貸付金・借入金の相殺漏れ

  • 内部取引の売上高計上

 

4. 借入金返済スケジュールの誤認

債務償還年数の計算に影響する重要項目です。

よくあるミス

  • 返済予定表に誤りがある

  • 期末残高ではなく年間返済額を過大・過少申告

  • 短期借入金と長期借入金の振替誤り

 

5. 売上高経常利益率の計上誤り

税務上の営業外損益や特別損益が混入しやすく、分析用経常利益は正しい調整が必要です。

典型的な誤り

  • 役員報酬を経常費用に含めている

  • 建設業以外の雑収入を経常利益に含める

 

6. 添付資料の不備・不足

経営状況分析機関への申請時に以下が不足しているケースも多いです。

  • 法人税別表16の不足

  • 前々期減価償却実施額の記載もれ

  • 切り捨て以外で減価償却実施額を記載

 


経営状況分析のミスによるリスク

1. Y点の過小評価

誤った科目分類や添付資料不備により、本来より低いY点しか算出されないケースが多発しています。
適正な財務内容が反映されないことで、経審P点全体に悪影響を及ぼします。

 

2. 経審申請そのものが受付不可になる

提出書類の齟齬により、経審本審査時に指摘・差戻しとなる事例もあります。
スケジュール遅延や公共工事の入札参加資格審査に間に合わなくなる重大リスクに繋がります。

 

3. 入札格付ランクが固定化される

経審は年1回しか受審できないため、申請ミスによる低評価は次回まで不利な格付ランクが適用されてしまいます。

 


ミスを防ぐための具体的な対策方法

1. 決算書作成時から建設業会計を意識する

税理士・経理担当が通常の法人会計だけでなく建設業独自の勘定区分を理解して決算書を作成することが基本です。

 

2. 行政書士による事前レビューの活用

行政書士は経営状況分析用の財務整理に精通しており、事前に帳票チェック・勘定区分の修正指導が可能です。

 

3. 科目分類マニュアルの整備

社内経理担当者向けに建設業財務諸表専用の集計基準マニュアルを整備することで、継続的な精度向上が見込めます。

 

4. 毎年の定期的な財務分析会議

決算期ごとに行政書士・税理士・経理担当で分析会議を行い、改善ポイントと修正方法を年度内に共有する体制が理想です。

 


行政書士による経営状況分析サポート内容

1. 科目分類診断と整理支援

決算書ベースの各勘定科目を分析用様式へ適切に仕訳変換し、提出前に精査します。

 

2. 添付書類の不備解消

不足書類の整理・補正を行い、一次提出での受付完了を目指す支援を行います。

 

3. 財務改善提案によるY点アップ指導

単なる計算代行ではなく、翌年度以降の債務償還年数短縮・自己資本比率向上等の改善計画提案を実施します。

 


まとめ|経営状況分析は細部の正確さが得点を左右する

経営状況分析申請は、経審制度の中でも特に財務内容の正確性と整合性が求められる手続きです。
毎年の繰返し作業だからこそ、ミスが蓄積しがちであり、適切な専門家の関与が評価点維持・向上に直結します。

 

行政書士あさみ法務事務所では、経営状況分析から経審全体、入札参加資格申請までを一括してトータル支援しております。
ミスのない万全の申請体制を構築したい建設業者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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